資本回収係数(CRF)計算 Capital Recovery Factor
資本回収係数(CRF)計算は、「元本」「金利」「返済年数(+支払頻度)」を入力するだけで、ローンの毎期支払額・年換算額・総支払額・総利息を自動計算できるツールです。期末/期首払いや残存価値の有無も指定でき、返済表(利息・元金内訳)とグラフで推移を確認できます。
使い方
- 表示された入力欄に「元本」「金利」「返済年数(+支払頻度)」を入れる準備をしてください(任意で「期首払い」「残存価値」「返済表を表示」を設定)。
- 「スタート」ボタンを押して入力開始(または数値を入力すると自動計算が始まります)。
- 数値を正確に入力してください。必要に応じて「月払い/年払い(複利回数)」「期末/期首」「残存価値」などのオプションを切り替えます。
- 入力完了時に結果が表示されます(CRF、毎期支払額、年換算額、総支払額、総利息、返済表とグラフ)。
資本回収係数とは?わかりやすく解説
資本回収係数(CRF)とは
資本回収係数(CRF)を一言でいうと、「いまの借入額(または投資額)を、一定の金利で、一定回数に等分して返すときの“1回あたりの支払割合”」です。
何ができるの?
借入額 P を利率 i・回数 n で等額返済する場合の毎回の支払額 A は、
A = P × CRF(i, n) で一発で求まります。
定義(式)
CRF(i, n) = [ i × (1 + i)^n ] / [ (1 + i)^n − 1 ]
i:1回あたりの利率(例:年3%を月払いなら i = 0.03 / 12)
n:支払い回数(例:10年・月払いなら n = 120)
金利がほぼ 0% のときは CRF ≈ 1 / n(単純な等分)になります。
直感でつかむ
- 借入は利息を上乗せしながら返済します。
- CRFは「借入額に何を掛ければ“毎回の等額”になるか」を教える係数です。
- 金利や回数が変わると、掛ける割合(毎回の支払額)も変わります。
すぐわかる例
年払いの例
- 条件:
P = 1,000,000円、年利 3%、10 年、年 1 回払い i = 0.03、n = 10CRF ≈ 0.1172305→ 毎年の支払額 約 117,231 円
月払いの例
- 同じ条件で月払い(名目年率 3% を月割り)
i = 0.03 / 12、n = 120CRF ≈ 0.0096566→ 毎月の支払額 約 9,656 円
使いどころ
- 住宅・自動車・設備投資などのローンの毎回支払額を即算出
- 初期費用
Pを定額コスト(年・月の固定費)に置き換えてプラン比較(LCOE/LCOS の簡易化、設備更新判断など)
よくある調整(現場での拡張)
- 支払タイミング:期首払い(デュー)は期末払いより
Aが(1 + i)倍。 - 残存価値
S:将来の売却価値は現在価値に割り戻してから計算。A = [ P − S / (1 + i)^n ] × CRF(i, n) - 名目/実効金利:
- 名目年率
r・年m回ならi = r / m - 実効年率
r_effを使うならi = (1 + r_eff)^(1/m) − 1
- 名目年率
- ゼロ金利近傍:
CRF ≈ 1 / nを採用(数値安定化)。
まとめ
CRF は「初期額 P を、金利込みで“毎回いくら”にすればちょうど返し切れるか」を教える係数です。条件をそろえれば、ローンの月々(または毎年)の負担を直感的に比較できます。
減債基金係数(SFF)と資本回収係数(CRF)の違い
減債基金係数(SFF)と資本回収係数(CRF)の違い
要点
- SFF(減債基金係数):将来の目標額
Fを作るために、毎回いくら積み立てるか(預け入れ)を出す係数。
式:A = F × SFF(i, n) - CRF(資本回収係数):現在の元本
Pを等額返済するために、毎回いくら支払うか(返済)を出す係数。
式:A = P × CRF(i, n)
定義(式)
- SFF:
SFF(i, n) = i / ( (1 + i)^n − 1 )(年金終価係数 FVAF の逆数) - CRF:
CRF(i, n) = i(1 + i)^n / ( (1 + i)^n − 1 )(年金現価係数 PVAF の逆数)
関係式(重要)
CRF = i + SFF
毎回の返済は「利息(i)」+「元本を返すための積立(SFF)」に分解できる。
直感
- SFF は「将来の目標額に向けた貯金の等額割り」
- CRF は「借入の返済の等額割り」。金利分(i)だけ、SFF に上乗せがあるイメージ
例(年利 3%、10 回)
(1 + 0.03)^10 ≈ 1.343916- SFF:
0.03 / (1.343916 − 1) ≈ 0.0872305066 - CRF:
0.03 × 1.343916 / (1.343916 − 1) ≈ 0.1172305066 - 確認:
CRF − SFF = 0.03 = i
使い分けの計算例
- 将来
F = 1,000,000円を作る積立:
A = F × SFF ≈ 1,000,000 × 0.0872305 ≈ 87,231 円/回 - 現在
P = 1,000,000円を借りて等額返済:
A = P × CRF ≈ 1,000,000 × 0.1172305 ≈ 117,231 円/回
補足
- 極限(
i → 0):SFF も CRF も≈ 1 / n(単純な等分)。 - 名目年率
r・年m回なら期利i = r / m、回数n = 年数 × m。 - 対応関係:SFF は終価年金係数(FVAF)の逆数、CRF は現価年金係数(PVAF)の逆数。
まとめ
SFF は「貯めるための等額」、CRF は「返すための等額」。そして CRF = i + SFF の関係が成り立つ。
関連ツール
注意事項
このツールは無料でご利用いただけます。
※このプログラムはPHP8.2.22にて作成、動作確認を行っております。
※ご利用下さっている皆様のご意見・ご要望(改善要望)をお寄せください。