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格安SIMとは何かを簡単におさらい
格安SIMとは、通信料金を抑えたい人向けに、大手キャリアよりも低価格で提供されているSIMカードのことです。スマートフォンに差し込んで利用する点は同じですが、サービスを提供しているのは「MVNO(仮想移動体通信事業者)」と呼ばれる事業者です。これらの事業者は、NTTドコモ・au・ソフトバンクといった大手キャリアの回線を借りて、独自の料金プランでサービスを展開しています。
格安SIMの最大の特徴は、月額料金が非常に安くなることです。月々1,000円以下のプランもあり、データ使用量が少ない人にとっては大きな節約になります。一方で、大手キャリアのような手厚いサービスや店舗サポートがないなどの違いもあります。
通信回線を自前で持つ「MNO(移動体通信事業者)」と、回線を借りて提供する「MVNO」との違いを知ることも重要です。MNOは自社の通信網を使うため、通信速度や安定性が比較的高い傾向にあります。対してMVNOは、利用者が集中する時間帯に通信速度が遅くなる場合がある点に注意が必要です。
現在では、格安SIMを提供する事業者も多様化し、ドコモ回線を使うもの、au回線を使うもの、マルチキャリア対応のものまでさまざまです。また、eSIMと呼ばれる物理カードが不要なSIMサービスも普及しており、スマホの設定だけで使えるタイプも登場しています。

初期費用や通信品質、サポート体制などをあらかじめ理解しておくことで、自分の生活スタイルに合った格安SIMを選ぶことができます。価格だけで選ぶのではなく、必要な機能やサポート体制とのバランスを考えることが、満足度の高い選択につながります。
格安SIMの代表的なデメリット一覧
通信速度が不安定で混雑時に極端に低下することがある
格安SIMは、大手キャリアの回線を一部借りて運営しているため、回線が混み合う時間帯(通勤・通学時間帯や昼休み、夜間)には通信速度が著しく低下する傾向があります。特に、YouTubeの視聴やSNSの利用中に動画が止まったり、アプリの更新に時間がかかったりするなど、実用面でのストレスにつながります。一般的に、昼12時台や夜20時台は最も混雑しやすく、1Mbps未満になるケースもあります。安定した通信が必要な人は、利用者の多い事業者を避けるか、独自回線を持つMNO系格安SIM(Y!mobile、UQモバイルなど)を選ぶとリスクを抑えられます。
キャリアメールが使えず、重要な通知が届かないリスクがある
格安SIMでは、キャリア独自のメール(@docomo.ne.jp、@softbank.ne.jp、@ezweb.ne.jpなど)が利用できなくなります。特に銀行や行政手続きでキャリアメールを登録していた場合、連絡が届かず手続きが止まるリスクがあります。代わりにGmailやYahoo!メールなどのフリーメールを使えば問題ないように思えますが、一部サービスではフリーメールを受信拒否する仕様もあるため注意が必要です。また、アドレス変更の周知やサービス登録情報の更新にも手間がかかるため、乗り換え前に整理が必要です。
LINEのID検索ができず、友だち追加が不便になる
多くの格安SIMでは、LINEの年齢確認機能が使えないため、ID検索機能が利用できません。これは、LINEが未成年保護の観点から、契約回線を通じて年齢情報を確認する必要があるためです。ID検索ができない場合でも、QRコードや「ふるふる」、URLリンクで友だち追加することは可能ですが、ビジネスや婚活などでID検索をよく使う人にとっては不便に感じられるかもしれません。なお、IIJmioやmineoなど、一部の格安SIMでは年齢確認とID検索に対応しているため、必要に応じて事前に確認しておくことが大切です。
最新機種への対応が遅く、動作確認が取れない場合がある
格安SIMを利用する際、最新スマートフォンとの相性に問題が生じることがあります。特にiPhoneの最新モデルや、Google Pixelなどの一部端末では、動作確認が未対応で通信が不安定になることがあります。格安SIM事業者の公式サイトで動作確認済み端末のリストを必ず確認し、自分のスマートフォンが対象かをチェックしておきましょう。また、SIMのサイズ(nano、micro、標準)も合っているか確認が必要です。
店舗での対面サポートが少なく、自力対応が必要になる
格安SIMの多くはオンライン契約・サポートが基本のため、実店舗を構えていない事業者が大半です。そのため、スマートフォンの操作に不慣れな方や、対面で相談したい方にとってはハードルが高く感じられます。初期設定やトラブル対応を自力で調べて解決しなければならず、不安を感じる方も少なくありません。対面サポートを重視する方は、Y!mobileやUQモバイル、楽天モバイルのような実店舗のあるサービスを選ぶと安心です。
支払い方法がクレジットカードに限定されている場合が多い
多くの格安SIMでは、月額料金の支払いにクレジットカードのみを受け付けている事業者が一般的です。口座振替やデビットカードに対応しているところもありますが、選択肢は限られています。クレジットカードを持たない人や、カード利用を避けたい人は、支払い方法の確認が必須です。楽天モバイルやmineo、BIGLOBEモバイルなど、一部の事業者では口座振替にも対応しているため、希望に合った事業者を選ぶようにしましょう。
初期設定やAPN設定を自分で行う必要がある
大手キャリアと異なり、格安SIMでは初期設定(APN設定)をユーザーが自分で行う必要があります。AndroidとiPhoneで手順が異なり、設定ミスが原因で通信できなくなることもあります。事業者によっては、構成プロファイルをインストールすることで自動設定が可能な場合もありますが、それでも手順に慣れていない人にはややハードルが高いと感じられることがあります。初期設定を簡単に済ませたい方は、端末とのセット購入や、サポート体制が整っている事業者を選ぶと安心です。
通話料金が割高になりやすく、頻繁な通話に不向き
格安SIMの多くは、通話料金が30秒あたり22円で設定されており、大手キャリアと同等かそれ以上になるケースがあります。専用アプリやオプションによって通話料が半額になる場合もありますが、頻繁に電話をかける人には不向きです。かけ放題オプションを付けると料金がかさむため、LINE通話などの無料通話アプリで代替できるか検討しておくと良いでしょう。仕事やプライベートで音声通話の比重が高い方には、通話定額のあるプランを持つ事業者がおすすめです。
MNP乗り換え時に通話や通信が一時的にできなくなる
MNP(モバイルナンバーポータビリティ)を利用して他社から乗り換える場合、SIMカードの切替や回線切り替え手続きの間に、一時的に通話や通信ができなくなる時間帯が発生します。特に、MNP予約番号の有効期限や、SIMカードの到着日、切替申請のタイミングなどを正確に管理しないと、不通期間が長引く可能性もあります。仕事で電話を多用する人や緊急連絡が必要な人は、切替のタイミングを慎重に選ぶ必要があります。
SIMロック解除や端末との相性問題で通信不可になることがある
古いスマートフォンやキャリアで購入した端末は、SIMロックがかかっており、格安SIMを挿しても通信できない場合があります。さらに、同じSIMフリー端末でも、通信に使う周波数帯(バンド)が格安SIMの回線に対応していないと、電波が入らなかったり通信速度が遅くなったりします。事前にSIMロックの解除と、対応バンドの確認を行うことが大切です。事業者の動作確認済端末リストを見て、自分のスマホが問題なく使えるかチェックしましょう。
災害時や緊急時における格安SIMの弱点
格安SIMはコスト面で優れている一方で、災害や緊急時に制限や注意点がいくつか存在します。大手キャリアと同じように使えると思い込んでいると、非常時に困る可能性があるため、それぞれの弱点を具体的に掘り下げて解説します。
緊急速報メールが受信できない場合がある
格安SIMの最大の弱点のひとつが、「緊急速報メール(エリアメール)」の非対応または不安定な受信状況です。たとえば、地震発生時に鳴る“あの警告音”が格安SIMでは鳴らないことがあります。
理由は、緊急速報がキャリアのネットワーク機能に依存しているためです。大手キャリアが提供するMNO(自社ネットワーク)では端末側に通知が届くよう設定されていますが、MVNO(他社から回線を借りている格安SIM)はその仕組みに完全対応していないケースが多く、Android端末では機種ごとに対応・非対応が分かれるのが現実です。
iPhoneの場合はiOSの仕様である程度カバーされているものの、必ず受信できるわけではありません。設定ミスや、そもそも格安SIM経由では発信されないこともあるため注意が必要です。
万一の事態に備えて、緊急速報の代わりとなる防災アプリ(Yahoo!防災速報、NHKニュース・防災など)を導入しておくと安心です。
災害伝言ダイヤルが使えないケースがある
災害時の安否確認に有効な「災害伝言ダイヤル(171)」ですが、格安SIMでは利用できないことがあります。これは音声通話の仕組みが大手キャリアと異なるためで、特にデータ通信専用SIMやSMS付きSIMでは利用不可となるケースが多くなります。
たとえば、NTT東日本・西日本が提供するこのサービスは、固定電話や大手キャリアの携帯電話では問題なく使えますが、MVNO回線では仕様上非対応だったり、サービス対象外とされていることがあるのです。
そのため、格安SIMを契約する際は、音声通話SIMであっても「171の利用可否」を事業者のサポートページや公式FAQで必ず確認しておく必要があります。
また、代替手段としては「web171(災害用伝言板サービス)」や「Googleパーソンファインダー」、J-anpiなど、インターネット回線を使った安否確認サービスを使う方法もあります。Wi-Fi環境やモバイル通信が可能な状態であれば、十分な代替手段となります。
通信混雑による速度低下が発生しやすい
災害発生時には、人々が一斉にスマートフォンで情報を確認したり、連絡を取り合おうとするため、回線が非常に混雑します。大手キャリアは自社の専用帯域を確保しているため、ある程度の優先制御が効きますが、格安SIMはこの帯域を「一部だけ」借りて運用しているため、混雑時に通信速度が著しく低下しやすい特徴があります。
たとえば、「検索しても読み込めない」「SNSで投稿が送信できない」「地図アプリが開かない」といった状況に直面することがあります。これは時間帯に関係なく、緊急時や災害発生直後に特に顕著に現れます。
MVNOの中には混雑しにくい設計を工夫しているところもありますが、一般的に回線の優先順位が低いため、命や安全に関わる場面では大きなストレスやリスクになる可能性があります。
このリスクを減らすには、Wi-Fiスポットの事前登録、SIMフリー端末へのサブ回線の挿入、あるいはモバイルバッテリーやポケットWi-Fiの常備など、複数の通信手段を確保する備えが効果的です。
音声通話やSMSの優先度が低くなることもある
大災害時には、警察・消防・医療機関などの「緊急通信」が最優先で確保されるよう、各キャリアが優先接続の制御を行います。このとき、一般ユーザーの通信(特にMVNO)は後回しにされるため、電話がかけられない、SMSが届かないといった事態が起こり得ます。
これは格安SIMの構造的な問題であり、MVNOは通信回線のコントロールができないため、大手キャリアが行う優先制御の影響を直接受けてしまいます。
特に緊急時は、家族や職場と確実に連絡を取り合う必要があるため、この点を過小評価しているとリスクが高まります。
そのため、災害時にはあらかじめ家族や大切な人と「連絡が取れないときの行動ルール(集合場所、避難先、SNS連絡の代替案など)」を共有しておくことが非常に重要です。また、LINEやX(旧Twitter)などのデータ通信型メッセージサービスを活用することも、緊急時の代替手段として有効です。
格安SIMを契約する際は、平時のコストパフォーマンスだけでなく、非常時の信頼性についても慎重に検討する必要があります。特に災害大国である日本においては、緊急時に「使えないスマホ」は致命的なデメリットになります。

日頃から代替手段を用意しておく、対応アプリを活用する、また必要に応じて予備のサブ回線(大手キャリアなど)を持つなどの対策を取っておくことで、格安SIMのコストメリットを享受しつつ、安心も確保することができます。
ガラケー利用者にとっての注意点
格安SIMはスマートフォン向けに最適化されたサービスが中心のため、ガラケー(フィーチャーフォン)を使い続けたい方には複数の注意点があります。ここでは、「機能制限」「SIMサイズ」「動作保証」「SIMロック」「災害対応」「料金プラン」の6つの視点から、ガラケー利用者が格安SIMに乗り換える際のリスクを詳しく解説します。
通話とSMS以外の機能は基本的に使えない
格安SIMをガラケーに挿しても、利用できるのは「音声通話」と「SMS(ショートメッセージサービス)」程度に限られます。インターネット検索やEメール、LINE、地図アプリといった現代のスマートフォンで日常的に使う機能は、ガラケーでは基本的に使えません。また、4G LTE回線やVoLTE(音声通話を4Gで行う技術)に対応していないガラケーの場合、SIMを挿しても通話ができない可能性もあります。
たとえば、ドコモのFOMA(3G)専用機では、格安SIMの4G回線には非対応のため、圏外のままになるケースがあります。通話はできても、発信時にエラーが出たり、着信音が鳴らなかったりする例も報告されており、使用感には大きな差が出ます。
SIMカードのサイズが合わないと使えない
ガラケーには、使用するSIMカードのサイズが端末によって異なるという問題もあります。格安SIMが提供するカードサイズ(標準SIM・microSIM・nanoSIM)と、自分の端末に対応するサイズが一致していなければ、物理的にSIMカードが入らないため使用できません。
特に、10年以上前のガラケーでは「標準SIM(25mm×15mm)」を採用していることが多く、最近の格安SIMが主流とするnanoSIM(12.3mm×8.8mm)ではサイズが小さすぎて固定できないケースがあります。SIMアダプターを使ってサイズを調整する方法もありますが、端子の接触不良や読み取りエラーが起こる可能性があるため、使用は慎重に検討すべきです。
動作保証されていないため不安が残る
多くの格安SIM事業者では、ガラケーでの利用を正式にはサポートしていません。公式サイトで動作確認済みの端末一覧に掲載されていない場合、仮にSIMが挿せたとしても通話できる保証はありません。端末によっては電源は入っても電波を掴まなかったり、通話中に音が聞こえなかったりといった不具合が生じることもあります。
また、こうした事象が発生しても、サポート窓口では「対象外端末」として案内を断られることが多く、トラブル対応に不安が残ります。販売終了から年数が経った端末では、メーカー側の修理受付も終了していることが多いため、自己責任で使い続けるしかないという状況になります。
SIMロック解除が必要な場合がある
ガラケーの中には、大手キャリアで購入した端末にSIMロックがかかっており、他社のSIMカードでは利用できない機種もあります。SIMロック解除を行えば、格安SIMでの利用が可能になりますが、解除にはいくつかの条件があります。
たとえば、解除対象となるのは「2015年5月以降に発売された端末」が基本であり、それ以前の機種は原則として解除不可です。さらに、購入から100日以上経過していること、分割払いの端末は支払い状況が正常であることなどの条件も存在します。また、手続きにはショップへの来店や、インターネットでの申し込みが必要です。これらの条件を満たしていない場合、格安SIMの利用は現実的に難しくなります。
緊急速報や災害伝言ダイヤルが使えない場合がある
格安SIMとガラケーの組み合わせでは、「緊急地震速報」や「災害伝言ダイヤル(171)」など、災害時の重要なサービスが利用できない可能性があります。これはガラケーの通信方式が古く、また格安SIM側のネットワークで災害用の通知機能が提供されていないためです。
たとえば、4G LTE非対応の端末や、フィーチャーフォン向けサービスを終了した事業者のSIMでは、災害時に警報が届かず、避難行動が遅れるリスクがあります。特に単身高齢者や海岸・山間部に住む方にとっては、命に関わる問題となりかねません。
災害情報を受け取る手段が限られるため、別途「防災アプリ」や「防災ラジオ」などを準備しておくことが強く推奨されます。
ガラケー向けの料金プランが減少傾向にある
以前は「通話専用プラン」や「メールだけ使えるプラン」など、ガラケー向けの格安料金プランが多く存在しました。しかし現在は、格安SIM事業者の多くがスマートフォン向けのプランに移行しており、ガラケーに適した料金プランの提供が減少しています。
たとえば、最低料金の音声SIMプランであっても、データ通信込みでの価格設計となっているケースがほとんどです。ガラケーしか使わない人にとっては、データ通信の部分が無駄になり、割安感が薄れてしまいます。
さらに、店舗でのサポートや機種変更の対応もスマホ中心になっているため、今後もガラケー利用者にとっては不便さが増していく可能性があります。

ガラケーで格安SIMを利用するには、対応機種・通信方式・SIMサイズ・料金プランなど、複数の条件を事前に調べておく必要があります。安く使えることは大きな魅力ですが、「通話とSMSだけで十分か」「災害時の情報は別手段で確保できるか」など、自分の生活に合っているかを慎重に見極めてから検討するのが賢明です。
格安SIMのデメリットを回避・軽減する方法
格安SIMには通信速度やサポート体制などで不安を感じる点がありますが、適切な準備と選択をすれば多くのデメリットは回避または軽減できます。ここでは、よくある悩みに対する具体的な対処法を一つずつ詳しく紹介します。
実店舗サポートを重視するなら「対面対応のある事業者」を選ぶ
格安SIMの多くはネット完結型ですが、「Y!mobile」「UQモバイル」「楽天モバイル」などは全国に実店舗を構えており、対面でのサポートを受けられます。例えばスマホの初期設定やSIMカードの挿し替え、料金プランの相談なども店員と直接やり取りができるため、ネットやスマホ操作が苦手な人でも安心です。特に高齢者や初めての乗り換えユーザーには、ショップでのサポートがあるかどうかが安心材料になります。
通信速度を重視するなら「回線品質の高いブランド」を選ぶ
格安SIMの通信速度が遅くなりがちなのは、大手キャリアの回線を借りている「MVNO」が多いためです。しかし、「ahamo(ドコモ)」「UQモバイル(au)」「Y!mobile(ソフトバンク)」などは自社もしくは準MNOの立場で回線を提供しており、混雑時でも比較的高速な通信が期待できます。通勤時間やお昼休みなど利用者が集中する時間帯でも、動画視聴やSNSがスムーズに使えるかどうかは、回線の安定性で決まります。速度重視なら、これらのブランドを優先的に検討しましょう。
通話料金の高さは「かけ放題オプション」や「通話アプリ」で補う
格安SIMは基本通話料が30秒あたり22円と割高に感じるかもしれませんが、多くの事業者が「5分以内かけ放題」「10分かけ放題」「完全かけ放題」といった月額オプションを用意しています。たとえばIIJmioなら10分かけ放題が月額700円、OCNモバイルONEなら完全かけ放題が月額1,430円です。また、「Rakuten Link」や「BIGLOBEでんわ」など、専用アプリ経由の通話で通話料が半額または無料になるサービスもあり、日常の電話代を効果的に抑えることができます。
キャリアメールの代替手段として「フリーメールの活用」が有効
格安SIMに乗り換えると、@docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jpといったキャリアメールは原則使えませんが、GmailやYahoo!メール、Outlook.comなどのフリーメールを使えば、ほとんどのサービスに登録・連絡が可能です。銀行や通販サイトなど一部でキャリアメールを推奨する例もありますが、現在はGmailに対応しているケースが増えています。設定方法も簡単で、スマホにアプリを入れるだけで複数アカウントを一元管理できるため、むしろ利便性は向上するでしょう。
LINEのID検索が使えない場合は「QRコード」などの代替手段を使う
LINEでID検索が使えないのは、年齢確認機能がキャリア回線と連動しているためです。ただし、QRコード読み取りや招待URLを使えばID検索を使わなくても友だち追加ができます。具体的には、自分のLINEアプリで「友だち追加」から「QRコード」を選択し、相手に提示すれば読み取ってもらうことで簡単に友だち登録が可能です。また、mineoやIIJmioなど一部MVNOは年齢確認に対応しているため、18歳以上ならID検索が使えることもあります。
対応端末を契約前に確認すれば「端末非対応トラブル」を防げる
格安SIMでは、端末との相性問題が起きることがあります。契約前に必ず「動作確認済み端末リスト(動作保証一覧)」を確認しましょう。各事業者の公式サイトで、メーカー・機種ごとに対応状況が掲載されています。たとえば「iPhone 12は利用可能」「Xperiaの一部は非対応」といった情報が明記されており、SIMを挿しても通信できないリスクを回避できます。対応端末であっても、SIMロック解除が必要な場合があるので、事前の確認と準備が重要です。
災害・緊急時に備えて「防災アプリ」や「複数回線」でリスクを分散
格安SIMは緊急速報メールや災害伝言ダイヤルが使えない場合がありますが、「Yahoo!防災速報」や「NHKニュース・防災アプリ」などをインストールしておけば、災害情報をリアルタイムで受け取ることができます。また、緊急連絡手段として、通話専用の大手キャリア回線をサブ回線として持つ「デュアルSIM運用」も効果的です。格安SIMの節約効果を得ながら、安全性も確保することで、バランスのとれた使い方が可能になります。
初期設定の不安は「設定済み端末」や「自動構成プロファイル」で軽減
APN設定などの初期設定に不安がある場合は、事前に設定済みのスマホを販売している格安SIM会社を選ぶと安心です。たとえばUQモバイルでは、購入時点で設定済みの端末を選べるため、自分でAPNを入力する手間がありません。iPhoneユーザーであれば、構成プロファイルを1つダウンロードするだけで自動的に設定が完了する事業者もあります。不安がある場合は、電話サポートやチャットサポートで直接聞ける事業者を選ぶとよいでしょう。

上記のように、格安SIMの主なデメリットは事前にしっかりと対策を取れば回避・軽減できます。「安さだけで選ばない」「自分に合ったサービスを選ぶ」ことが後悔しない格安SIM選びの鍵です。特に通信品質・サポート・通話・災害対応の4点は、事前にチェックしてから契約するようにしましょう。
こんな人には格安SIMは向いていない
格安SIMは月額料金を大幅に節約できる反面、人によっては不便やストレスを感じることがあります。ここでは、格安SIMの導入に慎重になるべき利用者の特徴を、具体的に深掘りして紹介します。
スマホの設定や手続きが苦手な人
格安SIMは基本的にオンライン手続きが前提で、初期設定やトラブル対応も自分で行う必要があります。たとえば、SIMカードを端末に挿す作業、APNの設定、回線切替の操作など、すべてマニュアルを見ながら進めなければなりません。電話サポートはあるものの、通話がつながるまでに時間がかかったり、説明がわかりづらいと感じることも。対面での相談を希望する方や、操作が苦手な高齢者の方には、スタッフが直接対応してくれる大手キャリアのほうが安心して使えます。
電話を頻繁に利用する人
格安SIMでは、基本的に通話料金が「30秒あたり22円」と高めに設定されており、長時間・高頻度の通話がある人には割高になります。たとえば営業職で1日数時間の通話をする人、親と頻繁に電話をする人などは、すぐに高額請求になりがちです。かけ放題オプションも用意されていますが、「10分以内無料」や「1,000円以上の追加費用」など制限があります。LINE通話などの代替手段を使えない相手が多い場合、大手キャリアの無制限通話プランの方がストレスがありません。
通信の速さと安定性を重視する人
格安SIMは回線を大手キャリアから間借りしているため、昼休みや夕方などの「混雑する時間帯」には通信速度が大幅に低下することがあります。特にYouTubeの視聴、Zoom会議、クラウドサービスの利用など、高速かつ安定した通信が求められる作業では、ページの読み込みが遅い、動画が止まる、通信が途切れるといった問題が頻発します。自宅のWi-Fiが頼りにならない環境や、日常的に外出先で通信を多用する人には、大手キャリアの方が安定性の面で適しています。
災害時や緊急時の通信に不安を感じる人
格安SIMの多くは、「緊急速報メール」や「災害伝言ダイヤル」などの災害関連サービスに対応していません。これは、国や通信会社が提供する優先的な通信インフラにアクセスできないためです。たとえば地震や台風の際に、速報通知を受け取れず避難の遅れにつながる危険性があります。また、災害時は回線が混雑して通信がつながりにくくなる傾向があり、通話もインターネットも使えない可能性があります。家族との連絡手段を重視する人には、信頼性の高いキャリア回線が適しています。
キャリアメールを使い続けたい人
格安SIMに乗り換えると、@docomo.ne.jp や @ezweb.ne.jp といったキャリアメールが基本的に使えなくなります。これは多くの金融機関やサービスが本人確認手段としてキャリアメールを重視していることもあり、たとえば「口座残高のお知らせ」や「予約確認メール」が届かなくなるケースがあります。メールアドレスを変更する手間が面倒な人、サービスの設定変更が不安な人にとっては、大手キャリアでメールアドレスを維持したほうが安心です(月額330円程度で継続利用は可能)。
最新のiPhoneやAndroid端末を使いたい人
格安SIM事業者が販売している端末は、ミドルスペックや旧型モデルが中心で、iPhoneの最新機種や高性能Android機種は取り扱いがない場合がほとんどです。また、他所で購入した端末を使う場合でも、「SIMロック解除」「動作確認済み端末のチェック」「APN設定」などの確認作業が必要です。これらの設定がうまくいかないと、「SIMは認識されているのに通信ができない」「通話はできるけどネットがつながらない」などのトラブルにつながります。スマホに詳しくない人や、安心して最新端末を使いたい人には、大手キャリアでの一括購入の方が手間もリスクも少なく済みます。
支払い方法がクレジットカード以外が良い人
多くの格安SIMは、支払い方法をクレジットカードのみに限定しており、現金払いや口座振替に対応していないケースが多くあります。「クレジットカードを持っていない」「使いたくない」「家計管理でカード利用を避けたい」といった方にとっては契約自体がハードルになります。楽天モバイルやUQモバイルなど、例外的に口座振替に対応している事業者もありますが、選択肢が限られるため、事前の確認が不可欠です。

格安SIMは安さが魅力ですが、その分ユーザー側に求められる知識や対応力も高くなります。上記に該当する方は、大手キャリアのサポート体制や通信の安定性を優先することで、ストレスのないスマホ生活が送れるでしょう。
まとめ|格安SIMは“人を選ぶ”節約術
格安SIMは、通信費を抑える手段として非常に魅力的な選択肢ですが、誰にでも万能というわけではありません。大手キャリアに比べて通信速度が遅くなる時間帯がある、キャリアメールが使えない、LINEのID検索や緊急速報通知が非対応になる場合があるなど、生活スタイルや使い方によっては不便を感じることもあります。
また、契約時やトラブル対応を自分で行う必要があることから、スマホの操作や設定に不慣れな人にはハードルが高く感じられる可能性もあります。さらに、災害時の通信安定性や、ガラケー・古いスマホでの利用可否など、意外と見落としやすい点にも注意が必要です。
一方で、オンライン中心でスマホを使う人や、自分で調べて設定を進められる人にとっては、料金の安さという大きなメリットがあるのも事実です。月額1,000円以下のプランもあり、サブ回線として活用するケースや、子どもや高齢者のサポート用途にも向いています。

格安SIMは“とにかく安ければOK”という人だけでなく、“自分に必要な機能を見極めて選べる人”にこそ向いています。価格の安さだけで飛びつかず、自分のライフスタイルに合っているか、実際に起こりうる不便をカバーできるかを慎重に検討することが、後悔しない選び方の第一歩です。